矯正治療は、装置がとれたら終わり!ではありません。実は、その後のメンテナンスが、歯ならび・咬み合わせの安定に欠かせないのです。そこで、今回は、矯正歯科のメンテナンスを怠ってはならない理由3つについてお話ししようと思います。

①歯は元いた場所を覚えています!

歯ならび・咬み合わせがゴールに到達し、十分調節された状態になったら、いよいよ長らくおつき合いいただいた矯正装置を外します。
そのタイミングで新たな装置へ変わり、メンテナンスへ移行していきます。
この装置はよく、後戻り防止装置やリテーナーの呼び方で知られているもので、正式名称を保定装置といいます。
名前の通り、定まった状態を保持することを目的とした装置です。

どのタイミングでどのような矯正装置を使用された方でも必ず使っていただく装置です。
なぜ、矯正装置を外したタイミングで保定装置にとってかわるのかというと…歯を支えている骨や周りの歯肉が新しい歯の位置に馴染んで固まってくるのは、歯を動かし終わった後だから、です。
それまでは、歯は元いた位置を覚えていますので、じんわりと戻っていこうとします。
せっかく治療期間・費用・通院と頑張って治していただいた歯ならび・咬み合わせですから、少しもずらすことなく、いい状態を維持したいですよね。
ですから、骨や歯肉が新しい歯の位置に馴染んで固まるまでの間、保定装置を使用して、歯を定位置に保つことが必要なのです。
②合わない装置を使っても、効果は期待できません

1つ目でお話しさせていただいた通り、保定装置を使ってメンテナンスしていくことの大切さはお分かりいただけたと思います。問題の保定装置ですが、いろいろな形・使い方のものがあります。
- ・歯の裏側に沿うようにはり付けておく取り外ししないもの
- ・プラスチックとワイヤーでできた取り外しのできるもの
- ・舌のくせがある場合、くせの改善に役立つ工夫が組み込んであるもの
- ・上下の顎の位置関係を改善してきた場合、改善された位置関係を維持する工夫が組み込んであるもの
- ・透明なマウスピース型で取り外しのできるもの



などが一般的でしょうか。
それぞれ、メンテナンスにあたり、注意して見ていかなくてはならないポイントは異なります。
共通していえることは、保定装置が歯ならびにぴったりとフィットしているかどうか、お口の中が清潔に保たれているかどうか、これらは要チェックです!
合わない靴をはいていると痛くなりますよね。保定装置歯使用している間にわずかに変形やゆるみがでてくることがあります。合わない装置を使用することで、痛みが出たり、装置に合わせて歯ならび・咬み合わせがずれてしまったりしては元も子もありませんよね。
ですから、決められた頻度を守って、メンテナンスを受けることが大切なのです。
③それって後戻り?加齢による変化?

最後に、ドキッとするようなお話をひとつ。
どんなに若々しくはつらつとされていても、加齢変化は必ずどの人にもやってきます。お口の中のことで挙げると、
- ・唾液の量が減ってくる
- ・歯の色が黄ばんでくる
- ・歯を支えている骨のかさが減ってくる
- ・歯肉がやせてくる
- ・歯に細かなクラックが入ってくる
- ・歯がすり減ってくる
- ・しみを感じやすくなる
などなど。長年役立ってきてくれた歯ですから、経年変化が現れるのは当然のことです。
なかでも、歯を支えている骨のかさが減ってくると、要は咬む力を支えている柱である「歯の根っこ」が埋まっている土台「歯を支える骨」がぬかるむことになりますから、歯ならび・咬み合わせはずれやすくなってしまいます。
矯正治療の後戻りだけでなく、加齢変化にもできるかぎり抗いたいものですよね。
保定装置は歯を動かしていた期間と同じくらいの期間、使用していただくようお伝えしていますが、その期間を超えて、就寝時だけでも、思い出した時に入れていただくだけでも、長く使用していただくことをおすすめしています。
長く使用していると、劣化により装置が変形したり割れたりしてくることがあります。
そういった時は、ぜひリニューアルしましょう。保定装置が痛みなく入ることは、歯ならび・噛み合わせが維持されていることのバローメーターです。